2007年09月04日

コナン君

名探偵コナンずいぶん前の西日本新聞・紅皿に掲載され、ほのぼの感横溢の文が残っていたので下に紹介してみます。


彼との出会い


3年前のこの季節。仕事を早く切上げて、近くの山に向かった。ちょうど、ふもとの住宅街に差しかかった時、ランドセルをしょった男の子が「こんにちは」とあいさつした。あいさつを返すと、「朝晩しのぎやすくなりましたね」という。驚いた。なんて大人びた言葉遣いか。まだ八歳ぐらいだったろう。すぐ分かれ道で別れた。


穏やかな坂道を登っていると、さっきの子が路地からニコッと顔を出した。私に付き合ってくれるという。眼鏡を掛けた顔は「コナン」君に似てる。「僕はYと言います」「君は礼儀正しいね。勉強好き?」「はじめは好きだったけど、もう飽きました」「あれれ、私の息子も同じことを言ってたぞ」。話すうちにだんだん楽しくなった。


彼は山の話をしてくれた。家族で熊本の山に登ったときはどしゃぶりになって、「地獄でした」という。私が今、登ろうとしている山は、「朝飯前です」と胸を張る。そして、「僕の家でお茶でも飲んで行きませんか?」ときたので、びっくりするやら、うれしいやら。断ったが、足取りは軽い。彼の優しい心遣いが私の心を躍らせた。愛情豊かな家庭ではぐくまれているんだろうな。
(自営業・56歳=福岡市早良区)


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Posted by 微笑みの貴公子 at 03:10│Comments(0)暮らし
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