2009年11月09日
五代目圓楽の芸

芝居噺・人情噺で、主人公・職人の住んでいる町としてよく出てくる神田竪大工町(かんだたてだいくちょう)
昨日NHKの追悼番組として、10/29に亡くなった圓楽の平成11年の口演・浜野矩随(はまののりゆき)を聴けました。
人情噺は、後年圓楽が主に取り組んでいた部門ですが、私個人的には一番の贔屓の五代目志ん生のものでさえ聴くのを避けているジャンルですから、ましてや圓楽のものを聴くのはおそらく初めてじゃなかったかと思います。
演題そのものは、好みのものでないせいでもあり、なんということもなく、やっぱり滑舌は悪いな、「からだ」「ははおや」など気にかかる、くらいの軽い気持ちで聴いていましたが、夫婦間のやり取りで面白い箇所がありました。
(書いていまして、IME辞書に、さらにはWEBの「EXCITE辞書」にも滑舌(かつぜつ)がないことに驚きました)
彫り師が持ち込んだ彫り物に法外な値を払うため、金子(きんす)を出せという道具屋の旦那に、度重なる無駄金を遣わせまいと聞こえぬ振りを通す女房に向かって旦那が、
「お前に言っとくけどな、旦那と泥棒が金を出せと言ったら、素直に出さなきゃ大変なことになるんだよ」
ここですぐに思い出したのが、詳しくは覚えていないアメリカの探偵小説の一節、警官と探偵の会話です。
「女房とテロリストの違いは?」
「?」
「テロリストとは交渉できる」
日本といえども現在は、上のような能天気なこのようなやり取りができる旦那といえば希少なものでしょうが、少なくとも落語が描く時代は江戸、こんな対応ができ、圓楽なら(実生活でもこのとおり?との混同がおき、)ふと、圓楽の嫁にならなくてよかったと勝手に思った次第でした。
昨日は「笑点」でも“暖かい追悼”が特集されていましたが、談志が亡くなった後のこのての番組がどうなるのか、不謹慎と思いながら想像するのを躊躇してしまいました。





Posted by 微笑みの貴公子 at 09:05│Comments(0)
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