2008年11月30日

青菜に塩、ではなくて柳陰

菜・一般的な小松菜青菜という噺をご存知でしょうか。


非常にポピュラーな部類に入る落語なので聴いたことがある方もたくさんいらっしゃることと思います。


仕事を終えた植木屋が、隠居に“柳陰”なる上等の酒や、鯉の洗いをご馳走になります。


「時におまえさん、菜をおあがりか?」

「へい、大好物で」

ところが奥様が

「旦那様、鞍馬から牛若丸が出(いで)まして、その名も九郎判官(くろうほうがん)」と妙な返事をします。

旦那もだんなで「義経にしておけ」


これが、実は洒落で、

菜は食べてしまってないから「菜は食らう=九郎」、「それならよしとけ=義経」というわけ。


これは客に失礼がないための隠し言葉と聞いた植木屋

風呂を誘いに来た大工の熊相手に、自分の女房にも演じさせようとしますが、にわか仕込みの女房が「鞍馬から牛若丸が出まして、その名も九郎判官義経」とオチまでやってしまいます。


植木屋、仕方なく「弁慶にしておけ」


元は上方ネタだそうですが、近頃耳にするのはほとんど東京の噺です。


ですから、主人公の植木屋がご馳走になる酒“柳陰”のことを、「こちらでは直酒(なおし)、あちらでは柳陰」と隠居が説明しています。


ところで、この話に出てくる“直し”のことですが、手元にある小学館「新選国語辞典」第七版・ワイド版(2000年1月1日発行)で、「直し」を見てみますと、「直しざけ 直しみりん」とあるのみで、これではなんのことやら一向にわかりません。


「柳陰」は、さすがにこの程度の辞書としては当然のことかもしれませんが、掲載はありません。


WEB上を見ますと、「焼酎にみりんを混ぜたもの」という説明がほぼ主流です。


ここに古く1989年12月10日に第1刷された、矢野誠一著・文春文庫「落語讀本」なる文庫本があり、この中の解説によりますと“直し”とは、(当時の)「広辞苑」によれば、


「腐敗しかけた酒または下等な酒などを加工して、普通の酒と同様な香味をもたせた酒。なおし」


というのが第一義にあり、「焼酎にみりんを混ぜた酒」が第二義に載せてある、と書かれています。


どうみても決して上等の酒とは言えそうにない“直し”を、噺の中では、大名酒などと持ち上げているのでしょうか、不思議に思えます。


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Posted by 微笑みの貴公子 at 16:32│Comments(0)エンタメ
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